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  2. 女性が自由に働き方を選べる時代へ “子育てシェア”で、みんなを笑顔に 株式会社AsMama 代表取締役 甲田恵子さんインタビュー

女性が自由に
働き方を選べる時代へ
“子育てシェア”で、
みんなを笑顔に

「来週、パートの面接があるから誰か代わりに子どもを迎えに行って欲しい」「明日、長男の授業参観があるからその間だけ次男の面倒を見て欲しい」。ご近所づきあいが盛んだった時代では当たり前だった風景をAsMamaが運営する「子育てシェア」のサービスが復活させた。子どもの送迎や託児など、子育てを顔見知り同士で頼りあう「子育てシェア」。現在では会員数 61,398人(3月時点累計)が利用するほど人気を博しているこのサービス、はじまりは代表を務める甲田さんが感じたある「不自由さ」がきっかけだった。

甲田恵子さん(43歳)

1975年大阪府生まれ。大学を卒業後、環境省の外郭団体で役員秘書と国際協力の関連業務を兼務。その後、IT業界の大手に入社。海外事業部に所属。05年長女を出産、06年の復職とともに上場準備室に異動し、IR担当に。07年、ベンチャー投資会社に入社。広報・IR室長を務める。09年3月に退職後、同年11月に株式会社AsMamaを創設。

女性だけが我慢をすることに疑問
育児も仕事も思い通りにできる社会へ

甲田さんは大学を卒業後、様々なキャリアを経た後、結婚・出産。子どもが2歳になった時にベンチャー投資会社に再就職し、広報・IR室長として活躍していた。もともとキャリア志向が強く、自身も順調にステップアップを積み重ねていくと思っていた最中、リーマンショックのあおりを受けて、退職を余儀なくされてしまった。それまでがむしゃらに働いていた甲田さんは広報で培ったスキルを活かすためにWEB制作を学ぼうと職業訓練校に通うことに。

「そこでの出会いが大きな転機になりました。職業訓練校には、多くの小さな子どもを持つ母親たちが通っていたのですが、能力もありこれまで十分なキャリアを積み上げたのにもかかわらず、ライフステージの変化で職種転換せざるを得ない人たちが多くいらっしゃったんです」

男性と同じ能力を持っているのに、女性は同じようには働けない。「誰もが育児も仕事もやりたいことも、思い通りに実現できる社会の仕組みを創りたい」という思いが甲田さんの中で芽生え、自身の思いをブログで発信したところ、大きな反響があったそう。

「出産後もバリバリ働きたいと思う人たちがいるように、子育てが好きという気持ちを活かして、近所に住む子どもたちの面倒を見てあげたいという人も大勢いらっしゃいました。両者が出会い頼り合える仕組みがあれば、この社会課題を解決できるのではと思ったんです」

娘の一言が「子育てシェア」の原点に 
顔見知りとのつながりで安心感アップ

誰かがやってくれるのを待つよりは自分でチャレンジしてみようと思った甲田さんは、問題を解決するためにAsMamaを09年11月に起業し、その後「子育てシェア」のサービスを開始したが、そのきっかけは娘の一言が大きかったという。

「その当時、仕事で会食があるときは、二重保育で預けたり、ベビーシッターに預けていましたが、娘に『ママは人には頼った方がいいって言っているのに、ママは頼る人がいないよね。それに普段は知らない人に付いていっては駄目といいながら、ママがお仕事になると知らない人が家にきたり、知らない人のところに連れていかれるから怖い』と言われたんです。
私は、預ける人の肩書や資格を見て判断していました。しかし、娘にとってそうではなかったのです。目から鱗でしたね」

当初は、趣味や嗜好、住んでいるエリア、教育レベル、年収などのデータを活用しインターネットを通じたマッチングサービスを考えていた甲田さんは娘のひとことをきっかけに顔見知りとしかつながれない仕組みに変更することにした。

「いくらインターネットのサービスが発展しても、結婚も養子縁組も最終的には会って判断されますし、世のお父様・お母様方は保育園などを選ぶときに実際に様子を見て判断します。だから子育てシェアでは、ご近所同士をつなぐ交流イベントも多数実施し、リアルの場とオンラインをかけ合わせたものにしたかったんです」

ゆるやかな大家族のようにつながり、
地域で子どもたちを見守り合う社会に

こうして誕生した「子育てシェア」は、サービス誕生から6年を迎え、今年の2月にリニューアルを行った。

「送迎・託児にフォーカスしてサービスを進めてきましたが、いくら顔見知りとはいえ、大切な子どもを預けるのはハードルが高くもあります。そこでその前に、関係性を深める仕組みが必要と考え、一緒に食事をしたりお出かけしたり、子どものお下がりをあげたり、お裾分けなどができるような機能を追加しました」

具体的には従来の託児送迎にくわえて、「モノ」「コト(予定)」のシェアをできるようにリニューアル。さらに、相手との関係性がどのレベルにあるのか、「シェア友レベル」を設けて可視化した。将来的には「頼り合いの輪」をもっと広げたいと甲田さんは話す。

「これからはママに限らず、高齢者の方や学生にも参加して欲しいと考えています。幅広い世代の方が、ゆるやかな大家族のようにつながり、地域で子どもたちを見守り合う。さらには子育てに限らず、様々な分野で半径2キロの中で頼り合えるようにしたいです」

例えば、就活中の学生は地域に住む“先輩”にアドバイスをもらったり、お年寄りの代わりに子どもたちが買い物に行くなど、地域に住む人たちが交流を深め、頼り合える社会の実現を目指している。

「頼り合う文化が広まればみんなが生きやすくなりますが、誰かの力を一方的に待つ『くれくれ』の精神ではいけないと思っています。まずは自分が動き、何かしらを周りに提供することが大切なんです。実は、これは働くことにも通ずるものがあります。働くという言葉の起源は、「端を楽にする」という意味、つまり自分の周りを楽にするということ。周りを楽にすることで、評価され報酬も受けられ、結果自己肯定感を得られるようになるはずです」

そして、女性を取り巻く環境が変わりつつある中で、なりたい自分をかなえるために大切なこと。

「自分の望む生き方、働き方、育て方を自由に選択できる時代に突入しています。女性はそのことをもっと強くわかってほしいですね。子育てのために女性が致し方なく仕事を辞め、自己肯定感を失う。仕事を辞めたことで世帯年収が半減し、結果、2人目・3人目を産み控え、夫は家庭のためにと長期労働を強いられる。私はこの悪循環こそが社会課題だと思っています。この負のスパイラルから抜け出すためにも、女性が自分の望む選択肢があることに気づき、まずは、自分のできることから始めてみて欲しいです」

株式会社AsMama
神奈川県横浜市中区 ☎045-263-6433
子育て支援、親支援のためのコミュニティ創りを目指し有志で集まったメンバーたちと共に創設。
子どもの送迎や託児など、顔見知り同士で頼り合う「子育てシェア」の仕組みを開発。
気兼ねなく子育てを頼り合えるオンラインの仕組みとリアルな交流の場創りを通して地域コミュニティの活性化を目指している。
現在6自治体とも協定を結び、公認サービスとして事業連携を行う。
総務省主催「ICT地域活性化大賞2017」 大賞受賞。