50歳以上を応援する企業特集
更新:2018.09.16
50歳以上を応援する企業特集
更新:2018.09.16
昨今、頻繁に耳にする「人生100年時代」。来るべきそのときに向けて、いち早く行動をとったのが今回ご紹介する株式会社LEOC。キーワードは「シニア層」の積極活用。同社では、80歳定年制(※社員対象)やアルバイト・パートスタッフの定年を廃止するなど、シニア層の働き方改革に着手している。病院や老人ホーム、企業の社員食堂や学校など幅広く食事サービスを提供している同社。今回は首都圏シニア事業統括 上席執行役員の迫田さんと、実際に介護施設で調理師として働く櫻井さんに話を聞いてみた。
北海道出身。19歳のときパートスタッフとして入社。27歳まで現場で調理を担当。その後、首都圏シニア事業統括 上席執行役員に。
岩手県出身。学校卒業後、病院で食事をつくる仕事に従事。その後、結婚を機に専業主婦に。65歳で株式会社LEOCにパートスタッフとして入社。勤務歴約12年。得意料理は和食。
※ 組織名・役職名は2018年7月時点のものです
社員の80歳定年制度やアルバイト・パートスタッフの定年制廃止など、シニアの積極活用に至った経緯について教えてください。
(※以下、敬省略)
迫田:現在、弊社は2,277カ所の施設、団体から委託を受け、食事サービスを提供しています。
1万7千人以上の人がスタッフとして働いていますが、現場では人手不足が大きな課題です。
そこで、注目したのがシニア層でした。
なぜシニア層だったのでしょうか?
迫田:弊社は、元来年配の方が多く働いていましたが、そのような方々から、「体が元気であれば何歳まででも働きたい」という声をいただいていました。そこで、2013年にパートスタッフの定年を廃止し、社員・契約社員の定年を70歳、75歳、そして80歳へと年齢を引き上げたのです。確かに年齢はひとつの指標になりますが、まだまだ働けるのに年齢だけで判断するのはもったいないですよね。
実際に櫻井さんは、この制度を聞いてどう思われましたか?
櫻井:はい。私も体がうごく限り働きたいと思っていたので、今の制度は大変ありがたいです。
迫田:櫻井さんもそうですが、皆さん本当にお元気で。
櫻井:元気なのにずっと家にいるなんてもったいないですよ。働くことで刺激を受けますし、人生が豊かになりますよ。私の場合、料理をつくるのが昔から大好きだったので、この年齢でも好きなことに携われるのはありがたいですね。
迫田:こちらこそ櫻井さんをはじめ、スタッフの方々に感謝しかありません。現在、弊社では全国で60歳以上のスタッフが6,000人以上、70歳以上が1,000人以上いらっしゃいます。
現場においてシニアの方々の存在はなくてはならないものだと考えています。
とはいえ、70歳を越えて働くことに不安はありませんでしたか?
櫻井:不安があるとしたら体力面。やっぱり70歳を越えると以前のように働くのは難しくなってきました。でも、会社側がしっかりとケアをしてくれるので問題なく働けています。
迫田:会社としても、一番懸念していたのは皆さんの体力についてでした。例えば、それまで1日8時間、週に5日間働いていらっしゃる方に、70歳を越えてそのままの勤務体制で働いてもらうのは酷なこと。ご本人と面談を行い、無理のない範囲で働いていただいています。
櫻井:私も、以前は月に10日ほど働いていましたが、最近は8日程度に調整していただいているので負担なく働けています。本当に助かっています。
会社としてシニアの皆さんに期待されていることは何ですか?
櫻井:70歳を越えても必要とされるのはうれしい限りですね。こちらも若い世代の人たちと一緒に働けるのは楽しいですよ。出社するときはお弁当を持っていくのですが、少し余分につくったり、ケーキを焼いて持っていき、みんなで一緒に食べています。みんな喜んで食べてくれるのでつくりがいがありますよ。それに、若い世代の人たちと接点を持つことは勉強にもなるんです。
迫田:どういうことですか?
櫻井:若い世代の人たちが使う言葉を教えてもらったり、どんな食事が流行しているのかなどを知ることができるので、とても勉強になるんです。
迫田:櫻井さんの職場は特に皆さん仲が良いですよね。
櫻井:そうなんですよ。私がいる職場では年齢に関係なく名字ではなく名前で呼んでいます。私もみんなから「ふくちゃん」と呼ばれるんですが、新しい友だちができたみたいでうれしいですよ。
では、一方で課題はありますか?
迫田:これだけ周りに元気なシニアの方がいたとしても、「本当に続けられるのか」と不安になられる方は大勢いると思います。新たに採用される方だけではなく、現在働いている60代、70代のスタッフが続けるかどうか悩んでいるときに、どれだけ会社として柔軟にバックアップができるかが重要となります。弊社では半年に一度、現場の責任者とパートスタッフが今後の勤務形態について話し合い、契約更新を行っています。ただ、それだけではなく、もちろん日頃から現場内や現場間でのコミュニケーションを活発にし、些細なことでもいいので何か変化があったら、キャッチアップできる組織づくりを行っていきたいと思います。
櫻井:そう仰っていただけるのは心強いですね。体が元気なうちはずっと働けるようにがんばりたいです。
櫻井さんのように働きたいと考えているけどやっぱり不安に思っている方は大勢いらっしゃいます。そんな方々にエールをいただけますでしょうか。
櫻井:週に1,2回働くだけで、すごくいいリフレッシュになりますし、仲間と話すだけで元気がもらえます。LEOCの場合、一度に何十人分の調理をするので、確かに体力は必要です。でも、例えば子どもや孫が家に集まったとき、10人分の料理をつくることもあるかと思います。その延長だと思えば、料理をつくることが好きな人であれば十分通用する仕事だと思います。仕事をするときは仕事をがんばって、休日は目一杯遊ぶ。生活にメリハリができるので、いつまでも元気でいられますよ。
迫田:櫻井さんをはじめ、皆さん年齢に関係なく最前線でがんばっている姿は本当に頭が下がる思いです。先日も、骨折をしてしまった87歳のパートスタッフが、「仕事に戻りたいから」と一生懸命リハビリをして、無事復職されたと聞きました。そのようなシニアの方々が、より長く働けるように、「週に1回午前中だけの勤務」、「午後だけの勤務」と本人の希望を極力受け入れ、ご都合のいいときだけ働いていただいています。それに、パートスタッフの定年廃止や社員の80歳定年制を掲げたことで、本心から皆さんに「一緒にがんばっていきましょう」と言えるようになりました。もちろん、より皆さんに負担なくご活躍いただけるよう、さらに制度のブラッシュアップをしていく予定です。弊社の成長はパートスタッフの支えがあってこそ。そのためにはシニアの方々の力はまだまだ必要です。私たちと一緒に成長していきましょう。
※ 組織名・役職名は2018年7月時点のものです
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